H23.4.19
式辞を申し上げる前に、このたびの東日本大震災により、亡くなられた方や行方不明となっている方、住居を失った方がおり、また、不自由な避難生活を余儀なくされている方々も多く、大変心を痛めております。亡くなられた方々のご冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災された皆様にお見舞い申し上げます。
さて、本校では、幸い、すべての生徒・教職員が、無事、避難することできました。しかし、校舎は大きな被害を受けました。特に、北側の3棟と4棟、各棟をつなぐ渡り廊下は、大きく破損しました。建物の構造を調べる専門家による「応急危険度判定調査」の結果、3棟と4棟は、「要注意」という判定で、常時使用することが難しい、危険な状態であるということで、使用禁止にしました。また、1棟と2棟は、常時使用しても大丈夫であるという判定で、建物の安全が確認されました。今後は、教室の数を増やすため、生徒昇降口東側にあるアスファルトコート・テニスコートの場所に、普通教室16教室、理科実験室3教室及び理科準備室3つ、理科講義室1教室の計20教室分の仮校舎を建てることにしました。仮校舎はプレハブ2階建て、中廊下の建物1棟です。工期は着工より2ヶ月半程度で、遅くとも7月末までには完成する予定です。この間、新入生の皆さんは、80名で4学級を編成し、視聴覚室、梅苑会館、第2体育館を仕切り授業を行います。このような状況ですので、他の高校に比べ、入学式が10日ほど遅れてしまいました。学校としては、今できる最善の学習環境を整えたつもりですが、新入生の皆さんには、何かとご不便をおかけすることになります。お許しいただきたいと思います。 今、本校は、これまで経験したことのない困難の真っ直中にあります。また、福島県は大地震・大津波・原発事故・風評被害の「4重苦」に直面しています。福島県を復旧・復興させるのは、「次世代リーダーとして活躍できる人材を育てる。」ことを教育方針とする福島高校で学ぶ生徒達が担わなければなりません。
私は信じています。福島高校生は、困難に直面すればするほど、それを跳ね返す資質と勇気、バイタリティーを持ち合わせている生徒達であると。私たち教職員は、本校の教育活動を、一日も早く正常化させるため、一致協力して取り組んでまいりますので、新入生の皆さんと保護者の皆様の全面的なご支援・ご協力をお願いいたします。
それでは式辞を申し上げます。
本日ここに、ご来賓のご臨席を賜り、平成23年度福島県立福島高等学校入学式を挙行できますことは、この上ない喜びであります。
保護者の皆様におかれましたは、多年のご苦労の甲斐あって、今、入学式に列席しているお子様の晴れの姿をご覧になられまして、お慶びさぞかしのことと、心からお祝いを申し上げます。 誇らかな笑顔で、県立福島高等学校の門をくぐることができた新入生一人ひとりに祝福の気持ちを贈ります。入学おめでとうございます。
さて、福島高校の教育の基本は、創立以来、連綿と流れている「清らかであれ、勉励せよ、世のためたれ」の「梅章のおしえ」であります。
「清らかであれ」とは、いろいろな誘惑があったり、困難な中にあっても、良心に従って毅然としてしっかり生きよ。ということです。
「勉励せよ」とは、学校は学びの場であります。学びの中で未知の世界を知り、知ることの喜びを感じ、それによって自らを磨きあげよ。ということです。
「世のためたれ」とは、目に見えないものによって生かされている我々が、与えられている人生の意味を考え、それを社会に還元すべく努力せよ。ということです。
福島高校は、この「梅章のおしえ」のもと、すべての生徒が大学進学を目指す県内屈指の進学校です。この伝統は、どのようなことがあろうとも、必ず守り続けなければならないものです。
そのためには、皆さん一人ひとりの「自覚」と「責任」が大切です。
「自覚」とは、自分の幸せと他人の幸せとを同時に求めなければならないという、人間性に溢れる覚悟のことです。
「責任」とは、21世紀の国際社会の自由と平和、社会正義のために力を尽くさなければならないという、志の高い、きっぱりとした決意のことです。
皆さんは、この「自覚」と「責任」を自らの人生の道しるべとして、着実に、そして、真剣に、「学力を磨き、書を読み、体を鍛え、そして、心を育てる。」そのことによって、「梅章のおしえ」を自らのうちに体現し、真実の自分を作り上げる努力を全てに優先させなければなりません。
新入生諸君、君たちは、もはや、可愛いだけの少年・少女であってはならない。
中国の遙か西の彼方、西域の名馬といわれ、血の汗を流してひたすらに走る汗血馬のごとく、君たちは、福島高校における、ただひとたびの青春の季節(トキ)を、さっそうと駆け抜けて欲しい。本物の福島高校生は、このことのためにのみ、涙を流すべきです。
君たちは、誰しもが可能性を秘めています。その可能性を、いかに探り出し、どんな樹に育てるか、そして、その樹にどんな花を咲かせるかが、今、君たちに課せられています。それは、校歌にも「花咲きみのりて世のためたたむ」とありますように、自分の未来図を望み通りに描くことができる人になることです。福島高校が何をしてくれるか、そういう受け身の姿勢ではなく、18歳で自立するという気概を持ち、福島高校という場での、かけがいのない3年間を、活気に満ち、自由で知的なエネルギーに満ちたものにしていく努力を精一杯してください。
先生方は、心を開いて君たち一人ひとりに話しかけます。君たちも先生方に話しかけてください。何か困難にであったり、思いもしなかったことにつまずいたり、辛い思いをしたり、悩んだりしているときには、必ず話しかけてください。何もなくても話しかけてください。
よりよい皆さん自身を、よりよい学校を、共に心を合わせて作っていきたいと思います。
新入生の皆さんの前途洋々たる未来をお喜び申し上げて、式辞といたします。
平成23年4月19日
福島県立福島高等学校長
冨 田 昭 夫
平成21年度第62回卒業式 式辞
吹く風に春の息吹が感じられるこの佳き日に、慣れ親しんできた学舎(まなびや)を巣立っていく卒業生の皆さん卒業おめでとう。本日は本校教職員はもとより、ご多用中にもかかわらずご臨席を賜りました来賓各位、保護者の皆様方全てにとって大きな慶びの日であります。特に、我が子の成長を暖かく見守り続けて来られた保護者の皆様方には、慶びも一入と拝察いたします。誠におめでとうございます。
卒業生の皆さん、皆さんが本校で過ごした時間はわずか3年間でした。凝縮された、何にも代え難い、これほど貴重な時間はなかったはずです。入学時のあどけなさも、ひき締まった大人の容貌へと変わりました。そこに成長した姿をみることができます。
しかし、もっとも大きな成長の証は、一人一人の内面にみずみずしい若い木となって育っています。自ら蒔いた種が芽を出し、根を張り太い幹となり「未来という高く広い空」に向かって勢いよく成長を始めています。頭を悩まし真剣に取り組んだ学習や人間関係と強靱な心を育てた部活動、クラスの団結と互いの信頼を再確認した梅苑祭、そして辛く苦しいときに受けた暖かい父や母、そして友達の励ましのことば、それらは全て皆さんの成長に欠かせないものでした。今、3年間を静かに振り返ってみて欲しい。多くの人と出会い共有することができた豊かな時間がどれほど貴重で素晴らしいものであったかわかるはずです。
皆さんは、自らが成長すると同時に様々な活動を通して、諸先輩がそうであったように本校に大きな貢献をし、福高生の志気を大いに高めてくれました。心から感謝しています。
皆さんが生まれたころ、第2次世界大戦後にベルリンに築かれた東側世界と西側世界を分断する壁が崩壊しました。アメリカ・ソ連という2つの超大国が世界の多くの国々をそれぞれの陣営に組み入れ、対立してきた冷戦の構図が終わりを告げました。僅か20年程前の出来事です。このことは良きにつけ悪しきにつけその後の世界に大きな影響を与えました。皆さんの両親の世代は誰もが、この歴史的事実を自分の目で見て、その後の世界の変化を体験してきました。しかし、皆さんは今、その事実と意味を教科書の中で歴史上の出来事として学んでいます。世界は僅か10年、20年前の出来事さえも遠い過去の歴史的事実としてしまうほど激しく早く変化しています。
今後も、世界や日本は変化の速度をもっと速めるでしょう。どのように変化するか想像することは極めて難しい。皆さんはこのような予測し難い社会で中心的な役割を果たして行くことになるのは確かです。傍観者的立場ではなく、自分は何ができるのか、自ら考え、自から判断し、自ら行動することが強く求められるはずです。
また、これからの社会は今以上に、緊張を強いられるような社会になるかも知れません。そのような社会で常に緊張に曝されると人の心は壊れてしまいます。人生をより彩り豊かなものにするためには、身の回りのささやかな出来事にも共鳴する、柔らかな心も大事にしなければなりません。春のそよ風を感じ何事かに胸をときめかせたり、秋の草むらにかすかな虫の音を聴き、物思いにふけることも大事です。美しい花を見て、あるいはバイオリンの音色に体全体が震えるような感動を覚える豊かな感性も大切です。また、この3年間は常に自分の隣に誰かがいてくれたように、「人の隣には常に人が居る」という大切な事実についても意識して欲しいと思っています。
卒業生の皆さん、より良い未来を自分たちの力で築いていくために、視線を遠くに放ち、今後も貪欲に幅広く、深く学び続けて下さい。「為すべきを為し、為すべからざるを為さず」。その上で、卒業生一人ひとりが「花咲きみのりて世のためたたむ」を実現することを心から願っています。
式場の全ての皆様と共に、卒業生の未来に幸多かれと願い式辞とします。
平成22年3月1日
福島県立福島高等学校長 新井田 大
式 辞
暖かな春の訪れと共に、桜も入学を祝福するかのように開花しました。厳しい試練を自らの力で乗り越え、本校への入学を果たした皆さん入学おめでとう。保護者の皆様方お子様のご入学、誠におめでとうございます。また、ご多用中にもかかわらずご臨席を賜りました来賓の皆々様には心から御礼申し上げます。本日、皆様方と共に平成21年度福島県立福島高等学校入学式が挙行できますことは、本校教職員にとっても大きな慶びであります。
さて、新入生の皆さん、皆さんは入学に当たって、これから始まる高校生活をどのように思い描いているでしょうか。高校入学は皆さんにとって、勿論ゴールではなく、自分の人生を切り開く新たなステージの始まりです。高い志を持ち、意欲的に高校生活を送ろうと決意している資質に優れた皆さんにとって、福島高校は最も相応しい場でありたいと思っています。
本校は生徒一人一人が、お互いに相手を認め合い、尊重し合いながら伸び伸びと活動できる、自由な雰囲気に満ちた学校です。私たち教職員は、皆さんがそれぞれの持ち味を生かし、主体的に積極的に活動することを期待しています。またそれができるように支援していきます。 日々の学習や部活動、梅苑祭に代表される生徒会行事等をとおして、また、進路希望の実現をとおして、皆さんと共に達成感と感動を味わうことを最大のよろこびとしています。
福島高校のこのような雰囲気は、生徒が「自主自律・自学自習」の精神を自らに厳しく求め、これを基盤として築き上げてきた「自由闊達な校風」、及び、生徒と教職員との信頼関係が支えています。「自主自律」とは、「主体的に責任を持って行動する」ことであり、「自学自習」とは、「受け身の学習から脱却し、自ら積極的に学ぶと同時に、心を開き様々な人や出来事からも素直に学びとる」ことを意味しています。「自主自律・自学自習」、これは福高生の行動規範として最も大切なものです。今後の高校生活に於いては、自らの行動をこれに照らし、一人一人が具体的に実践することを望みます。
さて、今日から福島高校での3年間の生活が始まります。今ここにいる320名の同級生と共に過ごす高校時代は人生において一回限りです。自らの力で手にしたこの出会いを大切にして下さい。皆さんは一人一人違った個性と優れた能力を持っています。明確な目的を持ち、その実現に向け自分をより確かなものにしていくために、学習や部活動に真剣に取り組んで下さい。他の生徒と積極的に意見を交わし、異なる意見にも耳を傾け、体力や知力の限りを尽くし、自分の限界に挑戦してください。この3年間の体験はどれも皆さんが大きく育つ糧となります。その中で、感動の体験は将来への夢を大きく育て、失敗の体験は他人の痛みがわかる優しい心を養ってくれるはずです。
福島高校は、将来様々な分野で、指導的な立場となり活躍できる人材を育てて来ました。今後もそれは変わりません。皆さんにもそれを期待しています。そのためにも、普段の学習をとおして、人間が創り上げてきた膨大な知的・文化的遺産を自分の中にじっくりと貪欲に取り込み咀嚼し、同時に世界で起こっている様々な事象に関心を持ち、その本質を問い、なぜなのか自分の頭で考える習慣を身につけて下さい。考えるヒントは普段の学習の中に見つかるはずです。
初々しい皆さんの姿に、先月本校を巣立っていった卒業生の、頼もしく成長した姿を重ね合わせながら、これから始まる高校生活が密度濃いかけがいのないものになることを期待しています。
結びに、保護者の皆様方には、今後とも本校教育へのご理解とご協力、ご支援をお願いし式辞とします。
平成21年4月8日
福島県立福島高等学校長 新井田 大
弟61回卒業式 式辞
雪を頂く吾妻の山並みが明るい陽光に輝き、吹く風にも春の息吹が感じられるこの佳き日に、梅花の薫りに包まれた思い出多い学舎を巣立っていく卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。
本日は、来賓各位のご臨席のもとに、福島県立福島高等学校第61回卒業式を挙行できますことは、本校教職員全てにとって大きな慶びであります。また、我が子の成長を見守りこの日を迎えられました保護者の皆様には、感慨も一入と拝察いたします。本日は誠におめでとうございます。
卒業生の皆さん、皆さんはこの3年間、「花咲き実りて世のためたたむ」と、高い志の実現へ向けエネルギッシュに活動してきました。一見無謀とも思われる、2兎も3兎も同時に追い求める姿が随所に見られました。しかし、これがまさに福高生であり、福高生に期待されているものです。部活動で活躍し、梅苑祭に歓喜し、書を読み、芸術を愛し、そして研究者や専門家を目指し勉学にいそしむ。あるいは地域医療への情熱を語る。未来を託すことのできる、才気溢れた誠実な福高生が育っていることに何にも代え難い喜びを感じています。
皆さんは入学した時から、常に「より高いものを目指す」事を期待されてきました。期待を担うことは名誉であると同時に、辛いことも合わせて引き受けることです。将来様々な分野で、指導的な立場となり活躍することを嘱望される者に課せられる、超えなければならないハードルでもあります。
能力はそれに相応しい場と、活動の自由を得てその真価を発揮します。ニュートリノ検出に関する研究でノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊先生にとって、その場はカミオカンデであり、皆さんにとってのその場は「自由闊達な校風」を大切にするこの福島高校ではなかったでしょうか。
明晰な頭脳は幅広い活動を通してさらに明晰さを高め、同時に視野を広げ洞察力を高めることができます。皆さんが様々な場面で示した存在感、達成感溢れる笑顔、知性の片鱗、それらはまさにこのことを実証しています。皆さんの姿は一つ一つの情景と共に、教職員、在校生の胸に思い出としてしっかりと刻まれています。
さて、今、世界は「グローバル化」という大きな力に動かされ、効率や高い収益性を求めて人間が作った制度やシステムが綻び、混乱しています。人間が作るものに、完全はないことを如実に示しています。しかし、日本や世界が人間の営みに起因する困難に直面したのは今回だけではありません。その都度、知恵を出し合い方向を見極め乗り越えてきました。人間が作り出した困難は、人間の英知で乗り越えられ事を示しています。私たちはここに、将来へ向けての希望を見いだすことができます。
それにしても、厳しい社会状況の中での、卒業となりました。皆さんには、「視野を遠くに放ち」、将来進むべき方向を間違えないようにして欲しいと願っています。そのために今やるべきことは、遠くを見据えて足下を固める事です。高い志と旺盛な好奇心を持ち続け、じっくりと広く深く学び続けることです。同時に、多くの人と幅広く良好な人間関係を構築し、相手の体温や息遣いまでも伝わる、生の情報のやりとりができる状況を作っておくことです。
私たちの社会は思想、信条を異にする、様々な人間が集まり、関係性を持つことで、成り立っています。その関係性が希薄になった時に、人間は孤立し閉塞感を感じ、未来への
展望を見失ってしまいます。未来を託せる福島高校の卒業生には、じっくりと学び、共に未来を語りあえる同士を得て、明るい展望を切り開くパイオニアになって欲しいと思います。そのためにも、自分の進むべき方向も、社会全体が進むべき方向も間違えない選択を皆さん一人一人にして欲しいと願っています。
かつて、大航海時代に、コロンブスやマゼランは北天に輝く不動の北極星を標に、未知の大陸や航路発見へと大海原に出帆して行きました。福島高校には、「清らかであれ、勉励せよ、世のためたれ」という「梅章の教え」があります。これは、本校生にとって北の空に輝くゆるぎのない北極星です。これを標として、新たな世界に挑戦して行って下さい。
最後になりましたが、本校創立110周年の記念すべき年度に卒業する皆さんが残した数々の実績は、本校の新たな歴史として確実に刻まれ引き継がれて行きます。
今後進むそれぞれの道で、福島高校で学んだこと、経験したことを生かし、「世のためならむ」と、大きな志を持ち、大成することを心から願い式辞とします。
平成21年3月1日
福島県立福島高等学校長 新井田 大